はじめに
少額訴訟を起こした際、被告が訴状を受け取らないと、裁判手続きが進まず困ってしまうケースがあります。こうした場合、付郵便送達という制度を利用することができますが、簡単に認められるわけではありません。
付郵便送達を裁判所に申し立てるには、「相手がその住所に確かに住んでいる」という居住実態の証明が必要です。そのために行う調査は、一般人が対応するには難しい内容が含まれており、専門の探偵事務所に依頼するという選択肢も検討すべきです。
この記事では、居住実態を証明するための調査内容や、探偵に依頼するメリット、費用の相場などをわかりやすく解説します。
居住実態を示す証拠とは?
付郵便送達を認めてもらうために、裁判所が求めるのは「被告が現在もその住所に住んでいる」ことを示す証拠です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 電気・ガス・水道のメーターの動き(最近使われていることが分かる写真)
- 住居外観の写真(洗濯物、灯りが点いている窓、玄関先の様子など)
- 郵便受けに配達物がたまっている状況
- 近隣住民への聞き込み結果(その人が今も住んでいるという情報)
これらの証拠をもとに、「その住所に確実に居住している」と裁判所が判断できれば、付郵便送達が認められる可能性が高くなります。
個人での調査はハードルが高い理由
これらの調査を自分でやってみようと思う方もいるかもしれませんが、実際には難しい場面が多いです。
- 電気・ガスのメーターは私有地にあることが多く、確認しづらい
- 写真撮影が不審者と見なされる可能性がある
- 聞き込みはプライバシーの問題やトラブルの原因になりかねない
- 証拠としての「信頼性」が低く、裁判所が認めてくれないこともある
また、こうした調査にはとくに相手が遠方にいる場合には、時間も手間も費用もかかり、心理的にも負担が大きくなります。結果として、訴訟の進行が遅れてしまう可能性もあります。

調査を依頼するメリット
こうした背景から、居住実態の調査を探偵事務所に依頼するのも有効な選択肢です。探偵に依頼する主なメリットは以下の通りです。
- 法律に配慮した形で調査が行われる
- 裁判所が納得しやすい「報告書」が作成される
- 調査が迅速で、訴訟の遅延を防げる
- 自分で動かずに済むため、時間的・心理的負担が軽減される
報告書には、日時入りの写真、調査員による記録、近隣への聞き込み結果などが含まれ、裁判所への提出資料としても有効です。
また、相手の居住確認のために「住民票の写し」を取得する必要もあります。被告の住所地の役場で取得手続きを行う必要がありますが、各自治体ごとに申請書式、郵便での申請方法、手数料、返信用封筒の扱いなどが異なります。例えば、定額小為替の金額が違ったり、本人確認書類のコピーが必要な場合もあるため、事前に役場のホームページで最新の手続きを確認するか、電話で問い合わせると安心です。
費用相場と依頼時の注意点
居住実態調査を探偵に依頼した場合の費用は、おおよそ以下の通りです。
- 調査費用の相場:2万円〜10万円程度
- 調査期間の目安:1〜3日
費用は地域や調査の難易度によって変動します。また、依頼前に以下の点を確認しておくと安心です。
- 報告書のサンプルを見せてもらえるか
- 裁判所提出を想定した調査経験があるか
- 追加料金の有無やキャンセルポリシー
- 弁護士や司法書士との連携実績があるか
信頼できる探偵事務所を選ぶことが、スムーズな裁判進行のカギとなります。
まとめ
少額訴訟では、相手が訴状を受け取らないと手続きがストップしてしまいます。その際に有効な手段が付郵便送達ですが、実施するには「相手が本当にその住所に住んでいる」ことを証明しなければなりません。
この証明には専門的な調査が必要となるケースが多く、個人で対応するのはリスクや手間が伴います。探偵事務所に依頼することで、信頼性のある証拠を短期間で入手でき、少額訴訟をスムーズに進めることが可能になります。
費用面も含めて総合的に判断し、自分の状況に合った対応を選ぶようにしましょう。
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