お金を回収したいときの2つの選択肢
「お金を貸したのに返してもらえない」「商品の代金を支払ってくれない」など、金銭トラブルに直面したとき、裁判以外にも手軽な法的手段があることをご存じでしょうか?
簡易裁判所で利用できる2つの代表的な制度に「少額訴訟」と「支払督促」があります。
どちらも比較的スピーディーかつ低コストで利用できる手段ですが、仕組みや進め方がまったく異なります。この記事では、両者の違いをわかりやすく解説し、どちらを選ぶべきかの判断基準までご紹介します。
少額訴訟とは?特徴と基本的な流れ
少額訴訟は、60万円以下の金銭請求を対象とした特別な訴訟制度です。
特徴は次の通りです:
- 対象は金銭の支払い請求のみ
- 原則として1回の期日で審理が終わり、判決が出ます
- 裁判所で原告・被告が対面で意見を述べ合います
- 判決後、支払命令が出され、強制執行が可能
証拠をその場で提示し、直接主張できるので、争いが予想されるケースに向いています。
支払督促とは?特徴と基本的な流れ
一方、支払督促は、書面だけで進む簡易な手続きです。主な流れは以下の通り:
- 裁判所書記官が、あなたの請求書類をもとに支払督促状を発行
- 被告(相手方)に郵送され、異議がなければ確定
- 異議が出なければ、判決と同じ効力が発生
- 強制執行も可能になります
こちらは裁判所に出向く必要がなく、書類だけで完結するため、手間が非常に少ないのがメリットです。

少額訴訟と支払督促の比較(メリット・デメリット)
以下の表に、両者の特徴をまとめて比較しました:
項目 | 少額訴訟 | 支払督促 |
---|---|---|
手続きの公開 | 公開の法廷で審理 | 非公開・書面のみ |
出廷の必要性 | あり(原告・被告とも出席) | 原則なし(書面で完了) |
相手の異議が出た場合 | 通常訴訟へ移行 | 同様に通常訴訟へ移行 |
スピード感 | 比較的早い | より早く終わる可能性あり |
証拠の提示 | 必要(その場で提出) | 基本的に不要 |
コスト | 安価(数千円〜) | より低コスト |
どちらを選ぶべき?ケース別おすすめ判断基準
どちらの制度を使うかは、相手の対応やご自分の状況によって判断しましょう。
支払督促がおすすめなケース:
- 相手が請求を認めていて支払いを先延ばしにしているだけ
- 裁判所に行くのが難しい
- 相手が連絡を絶っている場合
少額訴訟がおすすめなケース:
- 相手が「払わない」と明言しているなど、争いがある
- 書類だけでは伝えにくい主張や証拠がある
- 相手と話す機会を作りたい(和解の可能性を探りたい)
目的と状況に合わせて、適切な制度を選ぼう
「少額訴訟」と「支払督促」は、どちらも費用をかけずに金銭トラブルを解決できる制度です。しかし、その使いやすさや向いている場面には明確な違いがあります。
大切なのは、「相手の出方」や「自分の準備状況」に応じて、最適な方法を選ぶことです。
不安な場合は、法テラスや弁護士・司法書士への相談も検討してみてくださいね。
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