投資詐欺に遭った私が自力で30万円を取り戻した方法

alt="少額訴訟の訴状" 差し押さえ・強制執行体験
少額訴訟の訴状は裁判所のテンプレートも参考に。

信じていた相手からの誘い

私はかつて参加していたオンラインサロンの主宰者から、「何もしないでもお金が入る『副業』がある」と持ちかけられました。私は相手を信頼していたこともあり、余裕資金から30万円を振り込みました。

「副業」の内容はこうでした。「お金を出資してくれたら、毎年5%の利息を5年にわたって支払い、元金を返済する」。ところが「利息」が支払われたのは2年だけで、「元金」が返済されることはなかったのです。

最初は信頼していた人に裏切られたショックで何も手につきませんでした。また「被害」を周囲に相談することもできませんでした。

しかしインターネットで調べるうちに「少額訴訟」という制度を知りました。60万円以下の金銭請求なら、本人でも訴訟を起こせて、1回の審理で判決が出るというものでした。

訴状を作成・提出、しかし相手は受け取らず…

私はインターネットで少額訴訟について調べ、訴状や陳述書、証拠書類を自分で作成しました。証拠となるのは、相手とのやり取りの記録がわかるメールやLINEなどのスクリーンショット、銀行の振込明細などです。

これらの書類を相手の住所地を管轄する簡易裁判所にレターパックで郵送しました。少額訴訟は原則的に、相手の住所地を管轄する簡易裁判所で開かれます。ただし貸金などの金銭請求や、原告と被告で互いに合意がある場合は、任意に簡易裁判所を選ぶこともできます。

ところが数日後、簡易裁判所から「訴状が被告に届かず、戻ってきた」との連絡が入り、対応を尋ねられました。訴状が相手に届かない限り、少額訴訟を始めることはできません。

少額訴訟の訴状はインターネットで調べたり、裁判所で教わったりしながら自力でも作成できる。

業者に居住調査を依頼し、付郵便送達を申し立て

簡易裁判所からは「付郵便送達」という手続きが可能であると説明されました。これは、相手が訴状を受け取らなくても、実際に住んでいることが確認できれば、訴状が発送された時点で送達したとみなされる制度です。

この付郵便送達を利用するためには、相手が本当にその住所に住んでいるという証拠が必要です。私は探偵事務所に居住調査を依頼しました。電気・ガス・水道メーター、郵便受けの配達物、住居の外観などを確認してもらい、1週間ほどで調査報告書が届きました。相手が遠方に暮らしている場合はなおさら、個人でこれだけの調査をするのは簡単ではありません。

さらに、役所に郵送で住民票を請求しました(役所によって申請様式や必要書類が異なるため、事前に電話で確認)。住民票は相手が転居していない証明になります。役所に住民票を申請する場合は、少額訴訟の訴状を添付し、原告として被告の住民票が必要であることを説明します。

これらの資料を簡易裁判所に提出し、付郵便送達の申し立てが認められました。

数分で終わった少額訴訟と判決

期日は当初予定されていた日からおよそ1か月後に設定されました。当日、私は緊張しながら簡易裁判所に出廷しましたが、被告は時間になっても現れません。裁判官から「相手が欠席のため審理を終了します」と伝えられ、わずか数分で閉廷しました。

判決文には、「原告の請求を全面的に認め、30万円の支払いを命じる」との記載がありました。私の主張に、正当性が認められた瞬間でした。

最も費用がかかったのは居住調査

少額訴訟自体にかかった費用は、印紙代や郵送費を合わせても1万円にもなりませんでした。少額訴訟で最も大きな出費は、探偵事務所への居住調査の依頼料でした。私の場合は2万円ほどで、少額訴訟の費用(収入印紙と予納郵券)を上回りましたが、調査の質やスピードを考えると納得でした。少額訴訟の相手が遠方に暮らしていたこともあり、個人で住居調査をするのは簡単ではなかったと思います。

終わりに

少額訴訟は、泣き寝入りせずに自分で行動できる強力な制度です。書類の作成や裁判所とのやり取りは大変に思えますが、インターネットの情報や裁判所の窓口での相談を活用すれば、法律の専門的知識がなくても十分対応可能です。もちろん、法律の知識があればより安心です。

今回の体験を通じて「泣き寝入りしなくてよかった」と心から思います。もし同じように被害を受けた方がいたら、少額訴訟の利用を検討してみてください。前に進む一歩になるはずです。

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